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help リーダーに追加 RSS 【本】官庁セクショナリズム(まとめ)

<<   作成日時 : 2006/08/07 18:26   >>

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「官庁セクショナリズム」から一部まとめてみました。

個人的に興味深くよんだところは、各省間の調整メカニズムをどのようにして構築していくのかという点でした。本書ではこの歴史的経緯や背景がかなり詳しく記述されていて、大変面白かったです。ちなみに本書についてはpaco_qさんの書評がまとまっていて、参考になります。

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ここでは、本書全体のまとめというよりも、少し調整メカニズムについて記述された箇所をまとめておく。著者が調整メカニズムについて論じる際に引用しているのが1964年の第一次臨時行政調査会答申だ。それによれば、「共管競合による不都合の発生には、多くのケースに共通した次のような一般的原因が認められる」とし、以下の3点を指摘している 。
(1)各行政機関において、他機関と関連する業務についての相互間の連絡・調整の仕組みが欠けているか、ないしはその運用が未熟であること。
(2)各行政機関の事務当局は、いずれも当事者段階で調整しがたい事案をそれぞれの上位段階に持ち上げて解決を図ることに消極的または不慣れであること。
(3)各行政機関がセクショナリズムや権限意識にとらわれて、国民の利便増進や行政効果発揮のための相互の連絡調整に十分な考慮を払おうとしないこと。
これは40年以上も前の答申だけれども、今でも十分通用する指摘にも思える・・・・。

そして本書ではこの調整メカニズムの一つの事例として「環境庁」が取り上げられている。以下ではその該当箇所の記述をまとめてみた。

環境庁が「公害行政の一元化」を求める広範な世論を背景に大臣庁としてスタートを切ったのは、長期政権を誇った佐藤栄作内閣の終盤の1971年7月。環境庁の起源は1964年に発足した「公害対策推進連絡会議」なので、そこから7年もの年月が経っている。この間の経緯は何があったのだろうか。

公害対策推進連絡会議は、旧通産・厚生両省にそれぞれ産業公害課と公害課が設けられ、総理府に関係省庁の事務次官から構成された会議である。それ以前の調整方式は、経済企画庁の調整機能を期待したものや、厚生・通産両省の「完全共管」という方式によるものなどさまざまであったけれど、関係省庁の推進連絡会議が設置された翌年には公害審議会の答申がまとめられ、そこにおいて「公害行政に関する基本的方針を最終的に方向付けることのできる(中略)強力な決断力と推進力を担う機構」の設置が望ましいとされている。

これを受けて総理府に設置されたのが、内閣総理大臣を長とし、外務・防衛・行管・郵政の4大臣を除いた各省庁大臣からなる「公害対策会議」である。もっともこれは総合的公害行政機関ではなく、関係閣僚会議の代替物でしかないものであった。そして、この3年後に今度は閣議決定によって内閣に「中央公害対策本部」が設置され、環境庁設立が現実味を帯びてくることとなるのだ。

ただし、この当時対策本部ができるまでは環境庁設立にたいして否定的な見解が多かったようだ。例えば、当時の行政管理庁長官は、公害行政一元化に関する野党議員からの国会質問に対して以下のように答えている。
ただ、公害であるという包括的な面から捉えて、異質的な行政を一箇所に集めてみても、かえって行政の能率を阻害する結果となる恐れがあるのでございます。(中略)政府としては、各省庁の専門的分野を生かしつつ、公害対策に一貫性を保ち、総合的に調整推進をはかり得る強力な機関として(中略)公害対策会議が最も適切であると決定した次第でございます。
当時はこれが政府の統一的見解であって、その後野党から「公害省」の構想が出されても、政府首脳部の答弁は変わらず、縦割り行政のもとでの調整機構として、対策会議方式のほうが一元的な省庁の新設よりも「現実的」であることを繰り返していた。これはすなわち、公害に関する省庁間の調整過程における調整コストが相当程度の水準に達していたにも関わらず、現実的な政治感覚のフィルターを通してとらえると、プログラム別専門分化による利益のほうが調整コストを上回っていると判断されていたことを示唆している。また、佐藤経企庁長官も、調整官庁としての経企庁がそれほど機能していないことを踏まえて、行政一元化が得策であるとは言いきれないということも述べていた。

しかし、公害対策基本法の改正が具体的日程に上がるにいたって、このような判断は変わらざるを得なくなった。当時予定されていた「公害国会」を乗り切るには、もっと強力な調整機構が必要であったのだ。そこで設置されたのが、総理大臣を本部長とする中央公害対策本部であり、副本部長には山中貞則総務長官が任命された。山中長官のリーダシップは強力であり、それまで沈滞していた対策会議とは対照的に活発な活動を展開し、その後の衆議院特別委員会では以下のように発言している。
今国会に15の法案が提出できるということにこぎつけましたのは、やはり総理を長とする対策本部の−各省庁のばらばら行政といわれておりました感じの、いわば裏返しに申しますと権限を、縄張りを巡ってのいろいろな障害というものが、対策本部の手によって一応の調整がなされたことの証明になるかと思いますが・・・・
もっとも、山中長官は対策本部が閣議決定された当時は「これからあと実行するにあたりまして、あるいは私どもの努力が足りず、公害庁なり、あるいは公害省なりというものを置かざるを得ない立場になるとすれば、私自身の敗北であり、私達自身の努力が足りなかった、国民の期待に沿えなかったということになるわけでありますので・・・」と述べており、基本的には対策本部で十分調整可能であると考えていたのである。

しかし、1970年の「公害国会」の審議が進むにつれ、山中長官も当初の考えを変えざるをなくなり、事態は対策本部長たる総理の決断にかかっていることを明言するに至っている。こうして、とりあえず、内閣官房に公害対策室を設置することが決定され、さらに新年度予算案の概算決定まじかの12月末に「環境保護庁」(仮称)の設置についての首相の裁断が下されたのである。もっとも新設の環境庁をいわゆる総合調整機能に限定するのか、それとも実施機関まで含めたものにするかという基本方針を巡ってその後議論となるのだが・・・。最終的には強力な実施機能をもたせようとする長官の意向は反映されず、厚生省から国立公園部を移管させるところに止まった。

環境庁の設置には画期的な意義がある。それまでは経済企画庁をモデルとした大臣庁の設置について、その総合調整機能の実効性がくりかえし議論となっていたので、内閣法第6条に根拠を置く内閣総理大臣の指揮監督権の行使を具申できるという「伝家の宝刀」を環境庁長官に付与する法的措置(設置法第6条第5項)がとられたのである 。これによって、経済企画庁にはない権限を環境庁は有することで「調整メカニズム」を機能させようとしたのである。

以上が環境庁設置の際の背景であるが、著者はそれでも環境庁は「調整メカニズム」が十分発揮することはできなかったということを、環境アセスメント法の立案過程などの検証をした上で、否定的立場から論じている。

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以上簡単にですが、まとめてみました。新しい省庁を創設せよというのはよくある話で最近では「情報通信省」なんかが話題になっていたことが思い出されます。このニュースに対する指摘として参考となるのは、bewaadさんの「中央省庁再々編」や、池田信夫氏の「「情報通信省」はよみがえるか」などの指摘でしょうか。
bewaadさんは、
これまた共管なんてものは霞が関にいくらでも類例が見つけられる話なので、どこをどのように切り取ったところで重複などなくせるはずはないのですがどうするのでしょう(仮に一時的に重複をなくすことが可能だとしても、時間の経過とともに復活することは避けられません)。数えるのもばかばかしいのでカウントはしませんが、膨大な数の「関係省庁(等)連絡会議」(協議会その他別名称の同種の合議体を含む)があるわけで、先が思いやられます(笑)。
と述べておられますように、例えば環境庁設立時にも各省庁連絡会議のような会議(公害対策本部)があるからそれで十分対応可能というのが当時の多数の意見だったとのことですし、ここから次の一歩までの過程(各省庁連絡会議から省庁設置)は果てしなく遠いのだと思います。環境庁の時は「公害国会」ということもあってなんとか設立されたようですが。

ちなみに、現在の各省調整機関となると内閣府やあるいは経済財政諮問会議や総合科学技術会などが挙げられるのかもしれませんが、本書ではそれらについての考察はあまりありませんでした。このあたりの詳しい分析やより調整メカニズムに焦点をあてた考察については、同じ行政学叢書の第8巻「調整」(牧原出)で取り上げられそうな予感なので、楽しみにしておきたいと思います。
官庁セクショナリズム官庁セクショナリズム
今村 都南雄

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[government]縦割りと調整の背後にあるもの
今村都南雄「官庁セクショナリズム」を題材に、Koukyoさんが省庁間調整を論じていらっしゃいます。題材としては環境庁創設の経緯が取り上げられていまして、それ自体非常に興味深くありますが、しかしなぜそのようなことが起こるのかについては、当事者として若干申し上げたい点があります。 ...続きを見る
bewaad institute@kas...
2006/08/08 01:25
省庁間調整メカニズムについての参考論文
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Koukyo政策大学院生の蹇蹇録
2006/08/24 19:29

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