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help リーダーに追加 RSS フランスのEU憲法条約国民投票結果に関するまとめ

<<   作成日時 : 2005/06/03 00:02   >>

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EU憲法批准、オランダも圧倒的大差で拒否
オランダで1日、欧州連合(EU)の新基本条約・EU憲法批准の是非を問う国民投票が行われ、同国のANP通信の伝える暫定最終集計では反対61・6%、賛成38・4%で、圧倒的大差で批准を拒否した。
これはまぁフランスが拒否した時点でおおかた予測できた事であり、あまり衝撃的な結果ではない。
では、フランスはなぜ拒否したのか。この点に関しては他のブログでも様々な点から書かれているのでちょっと整理しておく。

まずは、media@francophonieの「欧州憲法フランス国民投票、否決」をご参照あれ。フランス新聞での出口調査データを日本語訳してくれています。どのような人が賛成し、どのような人が反対したのかを概観することができます。

fenestrae氏のブログ「ノンの翌日 (EU憲法条約国民投票)
左派のノンの性質と役割が気になって、ネットを調べれば調べると、結局はナショナリズムを反グローバリズムのレトリックで偽装したものではないかとの思いが強まる。一昨日「残念ながら左翼のノンは、極右のノンほどではないにせよ、最初にノンありきがゆえの事実にもとる主張が多い」と書いたが、左翼のノンに極右よりもデマが多かったと認識を改める。極右は拝外主義を隠す必要がないからごまかす必要がない。死んだ子の歳を数えるようだが、論争になった条文について再度、憲法条約をつらつら読みながらそんなことを思う。。

ウィ派とノン派の激しい論争の最中に、「ノン派の問題提起のおかげで人々がこの憲法のことを詳しく知ることとなった」と、ノン派が自画自賛したり、ジャーナリストが落とし所を見つけようとしていたが、ネットでの宣伝戦をみていると、かならずしもそう言えない。熱心な論客たちはたしかに、細かい点にわたって攻防戦を繰り広げているが、圧倒的に多くの宣伝がせいぜい一ダースほどのポイントからなるいわゆる「テンプレート」でなされている。この程度のプロパガンダで判断がなされていたのだととしたら、むしろ民主主義にとって極めて危険な兆候とえいる。フランスの左派は、アメリカの大統領選挙を笑えない。

svnseeds' ghoti!の「フランスとスペイン−国民投票を決めたもの
フランスがEU憲法にNonらしい。これだけだとふーんなんだけど、昨日の日経夕刊を見て、EU憲法を国民投票を経て批准したのは今のところスペインのみと知って大変興味を持った。同じ国民投票というプロセスを経てこの結果の違いを生んだものはなんだろうか。時間もないし面倒でもあるので箇条書きで書いてみる。結論から言うとユーロ加盟後の経済パフォーマンスの違いが大きな原因(の少なくともひとつ)だろう。

カワセミの世界情勢ブログでは、「フランスの欧州憲法批准否決に思う」にて、svnseeds' ghoti!と同様に経済の問題をあげている。
私が短期的な政治イベントに余り興味が無いせいもあるが、これ自体はとりわけどうという物でも無いと思っている。このEU統合プロセス、経済面の統合から始まり、政治面にも波及させる予定ではあるが、本質的にはやはり経済の側面、悪く言うと「食っていくための便法」であったことをもう少し冷静に考えなければならないだろう。ポーランドとウクライナの国境問題で悶着があった経緯だけでも、いつ何で躓くかは分からないにしてもどこかで停滞の時期があるという現実を予想するのは難しくは無かった。

極東ブログの「EUが終わった」では、
今回のフランスの否決は日本ではあまり報道されなかったようだがフランス国内での16日の休日返上大騒ぎなどという珍妙などたばが案外強く影響を与えていたようだ。あれがなければここまで大差で転けることもなかったかもしれない。
 この後だが、オランダも転ける。間違いなし。こちらの理由は、極東ブログ「テオ・ファン・ゴッホ映画監督暗殺事件余波」(参照)が関係している。そして、英国でも転ける。そして、いよいよブレア首相も終わりとなるだろう。時代が終わるのだ。
 話はEUの終わりというだけでは終わらない。先日の中国で奇妙な反日デモがあったが、中国当局側では日本にばかり目を向けていてEUの視線をややおろそかにしたきらいがあった。日米など軽視する覚悟でいたかもしれないが、中国の貿易比率を増しつつあるEU側でも、おかしいんでね?みたいな声があがってきたのには少し怯んだだろう。
 EUが理性的であり、ある政治・軍事的な統合性を持てば、中国の非理性的な運動へのバランスともなりうる可能性はあった。日本が国連で重要な位置を占めるに際して、米国の視点以外にEUはもう一つの視点を打ち出せる可能性はあるにはあった。
 しかし、もう世界はそうならない。終わったことだ。
と今回の結果を分析している。

最後に「ベルナール・ド・モンフェラン 駐日フランス大使の日記」の「ヨーロッパは立ち止まらない」を見る事で、現在のフランス政府の気概?を感じ取る事ができる。
フランスで行われている大議論が、最終的には欧州構築を強化するであろうと、私は確信しています。それはなぜか?それは誰もが国民投票を通して、より多くの情報を収集し、今まで以上にヨーロッパ問題に関して明確な判断力を身につける事ができたからです。これが民主主義の利点であり、こうした議論を繰り返しながらヨーロッパの土台を確立して行くのです。次に妥協点を見出さなければなりません。ヨーロッパでは、このようなペースで物事を進めるようになって、かれこれ50年近くになります。

ちょっと前のNEWS23にアーミテージ元国務副長官が出ていたが、そのときに「アジアはEUのような共同体をつくりたいと思っているのですが、それに対してどのように考えますか?」という質問に対して、「EUが本当に成功しているのか、どうか。おそらくフランスは否決するでしょう」という趣旨のことを答えていたが、見事アメリカの思惑通りになっていることになる。EUの問題とはいえ、アジア共同体を構想しているアジア諸国はこの動向をどう捉えるのか。まぁ今はまだ夢のまた夢のことだが、少なくとも今起こっているEUの動きは引き続き追い続けておく必要があるだろう。

というわけで、いずれまた考えたいと思うので、そのときようにちょっとまとめておきました。

<追記:6/4>flapjackのbookmarksの「フランス・オランダEU憲法否決」では、Guardianの記事を紹介している。
<追記:6/6>安全保障論のススメの「欧州における安全保障:NATO・EUを中心に
EU憲法の批准手続きが暗礁に乗り上げ、目指されていた来年10月の発効がほぼ絶望的になったことは、EUとしてのリージョナル・アイデンティティと各国のナショナル・アイデンティティの相克という観点から、多くの分析がなされることと思います。こうした論点は、私が秋に担当する「リージョナル・ガバナンス論」で詳しく扱っていこうと思います。他方で、欧州の安全保障という観点からみたとき、これはEUにおけるESDPの整備の遅れを意味することになります。そして、これは後に説明するNATOとの役割分担を考える上でも、ESDP推進派にとっては頭の痛い問題ということになるでしょう。
<追記:6月11日>「英国便り」より。
 先日、EUの憲法(Constitution)採択が、フランス、オランダと相次いで国民投票において否決されたことが話題となりました。当然、欧州では、このニュースは大きなインパクトをもたらしました。
英国では、これらの二国、特にフランスが否決したことを一番喜んでいるのはトニー・ブレア首相であろうとも言われています。彼はEU加盟国の首脳としてEU憲法の批准を支持し、先の総選挙では、国民投票の実施を公約として掲げました。英国は、単一通貨ユーロに加入していないことにも示されるように、伝統的に欧州統合に対して一歩距離を置く国であり、もし国民投票を実施すれば、英国国民は何よりも心理的な反発心から、「No」を突きつける可能性は極めて高いと考えられています。他方、それだからこそ、ブレア首相にとって、この重要な条約を国民投票無しに批准するという選択肢も政治的に困難なものでした。もし、他の大半の加盟国がEU憲法を批准した後で英国が批准に失敗するような事態となれば、英国はEU内で孤立することとなります。また、公約に掲げた国民投票に敗れれば、ブレア首相にとって大きな打撃となることは間違いなく、そのタイミングでブレアは降板し、ゴードン・ブラウン財務相に首相の座を引き継ぐ、という「シナリオ」までが想定されていました。まさに、ブレアにとってEU憲法は、ほぼ避けることのできない「鬼門」と見られていたのです。しかし、EU(旧EC)の発足当初から、ドイツと並んでその統合推進の原動力であったフランスが先に否決したことで、英国にとっては国民投票を中止する絶好の口実ができ、ブレアはEU憲法という「火中の栗」を拾わずにすむ可能性が高くなりました。
英国は7月からEUの議長国を務めることとなります。EUにおいて、英国は規制緩和、農業保護削減等の「経済改革」を主張し、より社会民主主義的な政策を志向するフランスと対立してきました。今回のフランス政府の挫折は、英国がその発言力を強める方向につながるといわれる一方で、逆にフランス政府が国民の支持を回復するために強硬な姿勢に出るのではないかという見方もあります。いずれにせよ、今後のEUの行方は注目されるところです。
<追記:6月12日>田中宇の国際ニュース解説「否決されたEU覇権
この中で、EU憲法とは関係ないが、興味深い記述があったので、ちょっと引用。
 世界のマスコミの記事を解読せず「すべて現場取材で情報を得るのが良い」という「現場主義」が日本の取材陣には根強いが、その結果、日本の記者の多くは、国際情勢を表層的にしか理解できず、深層部分の動きの多くは「事実確認ができない」ということで「なかったこと」にされている。これでは日本人の世界に対する理解は深まらず、国連安保理の常任理事国になど、ならない方が身のためである。

 世界の動きの深層を探ろうとすれば、必然的に、世界のマスコミの記事を解読していく必要があるが、そこで「騙しの解説記事」に騙されないようにすることが必要になってくる。

 われわれはメディアという与えられた眼鏡を通してしか、世界を知ることはできないが、眼鏡のガラスは透明ではないかもしれない。マスコミの解説記事が書かれた経緯を後から検証できないということは、眼鏡をはずしてガラスの色を確認することができないということである。眼鏡のガラスが何色なのかは、いろいろな対象物を見ていくうちに、相対関係の中から推察していくしかない。

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